「ドクターX」、テレ朝・大人気ドラマの裏側 視聴率2冠の牽引役、内山聖子プロデューサーに聞 [大人気ドラマの裏側]

「ドクターX」、テレ朝・大人気ドラマの裏側 視聴率2冠の牽引役、内山聖子プロデューサーに聞く-
東洋経済オンライン(2013年4月12日06時00分)

テレビ局の2012年度(12年4月~13年3月)平均視聴率は、
テレビ朝日が1959年の開局以来初の快挙を達成した。

ゴールデンタイム(19~22時)、プライムタイム(19~23時)で首位と2冠を獲得。

次に狙うのは、13年1月にスタートしている年間平均視聴率で、
全日(6~24時)トップも含めた3冠奪取だ。

この躍進を牽引している、高視聴率番組を手掛けるプロデューサー2人に話を聞いた。
第2回は、12年10~12月に放送され、高視聴率をたたき出したドラマ「ドクターX」を
手掛けた内山聖子氏。


■初回視聴率18%超に実は驚いた

――12年10~12月放送のドラマ「ドクターX」は、平均視聴率19.1%。
民放の連続ドラマでは年間トップの高視聴率で、
テレビ朝日の年度視聴率2冠獲得を牽引しました。

「ドクターX」と同様に米倉涼子さん主演のドラマは、
「黒革の手帖」で平均視聴率15%台、「けものみち」で同14%台など、
高視聴率を取ってきました。

ですが、19%台は異例の数字ですね。
前評判は高くなかったので、いつもの調子でのびのびマイペースに
やっていこうというスタンスで取り組んだのですが、
初回視聴率で18%を超えたので、実は私自身びっくりしました。


視聴率が悪いときは細かく分析するので、
よくなかった理由をいくつも挙げることができるのですが、
視聴率がいい理由を挙げるのは、本当に難しいものです。


米倉涼子さんはいつもの米倉涼子さんで、
医療ドラマも数多く存在しています。

どのドラマも、豪華な出演者の方々がいい仕事をして、
脚本家が勢いのいいセリフを書いて、
宣伝部を含め、テレビ局全体のバックアップを受けてきました。


ただ今回、「ドクターX」で米倉さんが演じた外科医・大門未知子の
“痛快なキャラクター”は、私たちにとって新しい挑戦でした。
この痛快さに視聴者が引き付けられたのかもしれませんね。


視聴率は、私たちが見て欲しいと思うものと、
お客様(視聴者)が見たいと思っているものが重なる度合いの
大きさを表しているんだと思います。

テレビの前に座っている、私からは顔が見えない視聴者の方々が、
何を望んでいるのかを一所懸命に探るということが、
私にとっては視聴率を意識してドラマを作るということ。

プロデューサーとして中堅となった立場上、
この視聴率を意識せざるをえなくなってから、
コンテンツの力が強くなった気がします。

「ドクターX」は、視聴者と作り手の感覚が合致する
度合いが今まで以上に大きかったということでしょう。

――内山さんが米倉涼子さんとタッグを組んだドラマは、ほとんどが高視聴率を取っています。

米倉さんの力によるところも大きいですよね。

米倉さんでどんな作品を作るかと考えるようになってからは、
「世の中の人が求めている米倉涼子のキャラクター」を
意識してドラマを作っています。

ただ、最初に米倉さん主演で制作したドラマ「黒革の手帖」(2004年放送)は
米倉さんありきで企画したわけではありませんでした。

私は福岡県北九州市の出身で、
松本清張にゆかりが深い土地柄だったこともあり、
子どもの頃から松本清張の小説が好きだったんです。

ほぼ全作品読んでいたので、
ドラマの制作に携わるようになってからは、
ドラマで松本清張作品を手掛けたいと思っていました。


満を持して「黒革の手帖」の企画が持ち上がったときに、
たまたま、米倉涼子さん主演で連続ドラマを作りませんか
という提案があり、「黒革の手帖のヒロインを米倉さんが
演じたらどうなるだろう?」と思ったのが、
米倉さんとの出会いのきっかけとなりました。

■ギャップがあったほうが面白いと思った

それまでモデル出身の米倉さんが演じていた役柄は、
視聴者に愛されるかわいらしい女性だったので、
黒革の手帖のヒロイン、原口元子が「銀行から横領したおカネと、
銀行の顧客の架空名義預金の情報を元に男性から巻き上げたおカネで、
銀座に高級クラブを開きのし上がっていく…」という、
いわゆる悪女を演じることを、関係者の方々は心配されていました。

ですが、最初に会ったときの米倉さんの印象が、
「なかなか根性の据わった女優さんだな」というものだったので、
私は、このくらいギャップがある役をやってもらったほうが
面白くなるだろうと感じました。

――この“ダーティーヒロイン”への挑戦によって、
米倉涼子さんは20~30代女性ファンに加えて、
50代以降の男性からも支持され、新しい面を開拓しています。

フジテレビや日本テレビのドラマの強さが
20~30代女性視聴者の獲得にあるとすると、
テレビ朝日は、お家芸とも呼べる刑事ドラマやサスペンスの
ドラマ制作力を生かして、50代以上の男女の視聴者を
しっかりつかんでいるという強みがあります。


この層のお客様(視聴者)は大切にしたいですね。
そのため、「大人の目線に堪えられるものになっているかどうか」は
つねに意識しています。

またドラマには、今という時代の実感を盛り込んでいます。
「ドクターX」のときは、閉塞感が漂う中で、
コンプライアンスやルールにグウッと縛られている
世の中に風穴を開けたいという思いが強かったんです。

会社だけでなく、病院という組織もまた縦社会で、
会社員と同じく医師も上司には逆らえず、
ドラマの中のせりふで言うと「御意」と言い続けなければならない。


逆らっていいはずなのに逆らわない
「サラリーマン気質」が蔓延している世界で、
人の命と向き合うには「職人気質」が必要なのではないか、
ということを表現しました。


「大人のマンガ」として楽しんでもらいたかったので、
大げさなくらいの演出やせりふで、私自身が見たいと思っていた
「自由なヒロイン」として、主人公の大門未知子を
米倉さんに演じてもらいました。

「黒革の手帖」は10年ほど前のOLさんの立ち位置から、
ヒロイン像を組み立てています。

ヒロインは銀行員で、脚本の中には「銀行では
巨額なおカネが目の前を通り過ぎていくのに、
私の貯金は10年働き続けても400万円程度。
銀行にとって、預金400万程度の顧客はゴミと言われる」と
いうような言葉が出てきます。

現実的にOLさんは、
長く働いても出世の道が用意されているわけではなく、
努力しても報われる瞬間は少ない。

30歳になると肩をたたかれ退社をうながされる……という中で、
悪いことをしても嫌われても、自分の力でのし上がっていく
エネルギーや反骨精神をヒロインに植え付けました。


どことなくみんなが浮き足だってふわふわとしている
ように感じられる現在、私が見たいなと思うドラマは、
心に刺さるヒューマンドラマでしょうか。


次にどんなものをやるかはまだ構想段階ですが、
今年中にまた、米倉さんとタッグを組んだドラマを
作ろうという話が進んでいます。

■ドラマのキモは「キャラクター」

――ドラマは録画視聴の流れにあり、
視聴率につながるリアルタイムの視聴者は獲得しづらい状況にあります。

その中で、録画ではなく、リアルタイムに見てもらうために、
ドラマに必要な要素は何でしょうか?

私は「キャラクター」だと思います。

毎週、「ドクターX」の大門未知子に会いたいと思うかどうか。

彼、友達、親、子どもなど、毎日会いたくても、
忙しい日常生活の中でなかなかつかまえることが
できない人がいます。

そんなふうに会えない人たちをキャラクターに投影して、
視聴者はそれぞれのキャラクターに会いたいと思う。

毎週決められた時間にテレビの前に座ってもらうためには、
「このキャラクターにこの時間になれば必ず会える」と心待ちにしてもらうこと。

この点をドラマ作りでは大事にしたいと考えています。

http://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20130412_13642





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